これからの事 田辺熱
これからの事 田辺熱
社員の皆さんへ:
3月16日ワシントンより、これからの事と題して
皆さんにメールを送りました。
今回はその続きです。長いメールです。
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3日、午後9時過ぎ、愛媛県松山市から戻ってきました。
土曜日に松山で私の甥の結婚式があり出席していた為です。
この2日間の松山の気温は15,6度。
桜も場所によりますが8分咲き程と、まさに春の到来を
感じてきました。
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ホテルやタクシーの人たちと話をして大変気になったのが
東北関東大震災を理由に、松山のように全く今回の災害に
関係のない地域でイベントを自粛したり、中止になったり
しているのです。
皆さんも知っての通り、東北から関東の太平洋岸の殆どの
市町村が壊滅状態です。
津波で喪失した工場等も多く、新たに建屋を建て更に新規に
工作機械を購入し事業を再開する等容易いことでは有りません。
経済活動等全く出来ません。
被害に遭った地域の人々は、今日を生きるためには、国や
被害に遭っていない市町村、ボランティア、寄付等にその多くを
頼らざるを得ません。
被害にあっていない福島、茨城、栃木の農家の方々も、そして
いずれは漁業も、福島原発の影響(風評も含め)でこちらも
当分の間、ほぼ壊滅に近い状態になると言わざるを得ません。
加えて、東北電力もいずれは定期停電を実施すると思われます。
関東と東北の電力会社が停電を行う事での商業上の損失は
測り知れません。
東北・関東太平洋岸の経済の回復は早くても3年、多分5年以上は
かかるでしょう。
又観光面でも大きな影響を受けます。東北、関東(東京も含め)には
国内は元より海外からの観光客は当分の間殆ど来てくれません。
特に福島原発の問題は海外から見れば深刻です。彼らは感覚的に
日本に行きたくはありません。観光収入も激減します。
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この復興には国からのお金が必要です。
国の収入源は多々(?)ありますが、何よりも税収です。
税金は会社と個人が支払います。
ただし、実態の無くなった会社、赤字の会社からは税金は
取れません。勿論、働く会社が無い人達からも殆ど取れません。
(略)
結論は如何に個人と会社が収入を多くして税金を払うことです。
国はそのお金を少しでも多く(足りませんが)、今回の災害に
回さなければなりません。
例えば花見をしようと思えばその場所に行きます。
少し遠くなら交通手段を使います。電車代を払います。
飲み物も買います。お店にはアルバイト社員も必要です。
ビールを多く飲んでくれればそれだけで税金となります。
ビール会社は水や麦やホップ等の材料を購入します。
ビールを作ります。その為には社員が必要です。
社員は給与を貰えます。貰った給与で食品を買います。
服も買うでしょう。家族でレストランに行くかも知れません。
例え花見だけでも多くの場所で取りやめになれば
どうなりますか? 今の逆を考えれば簡単です。
***
私は管総理は災害地を視察も重要ですが、その前に、先ずは
「災害に遭っていない都市は、イベントや各種の祝いの行事を
中止するな。被害地域の少しでも早い復興を願う
花見やイベントを大々的にして日本再生の決起集会としてくれ」、
「北海道、北陸、中部、関西、中国、四国、九州そして沖縄の
人たち、頑張ってくれ、日本の経済を引っ張ってくれ!」
と声を大にして伝えなければならないと思います。
***
社員の皆さんもこれほど酷い東北関東大震災での被害を
目の当たりにすると、「我々だけが楽しんで良いのか」と誰しも考え、
更には気分も乗らず、これまで当たり前に行っていた多くの事を
自粛したり、中止したりしようとすると思います。
今、この考えは禁物です。これまで通りにして下さい。
そうしないと日本経済が更なる打撃を受け、ダメになります。
その結果、多くの会社がその影響を受け、事業の縮小や
倒産になります。
単純です。物やサービスが売れなくなるからです。
(略)
事業縮小とは人が要らなくなるという事です。
この事を是非理解して下さい。
【寄付をしてくれた社員の皆さんへ】
(略)
この未曽有の大災害に私の呼びかけに理解をしてくれ、
更に躊躇なく大切なお金を寄付してくれた事に対して
本当にありがたく、又嬉しく、心より感謝しています。
先にも述べましたが、このままだと日本の経済は
更なる縮小に向かいます。そこからの復帰は大変困難です。
それを防ぐためにも少しでも多く消費を増やす必要があります。
その為の私のささやかな方策として、寄付をしてくれた方全員に
寄付へのお礼として、私個人から寄付してくれた金額の
1.5倍を、例えば5千円を寄付した場合は7千5百円を、
プレゼントしようと思います。
このお金は預金しないで、「私は日本人だ、日本人として
頑張るぞ!」心の中で叫んで、地元で全て使って下さい。
これからは兎に角お金が回る事、これが最も大切です。
よろしくお願いします。
速やかな日本の復興を祈って。
田辺熱