[新型コロナ関連論文]アデノシン三リン酸(ATP)の二相性が調整するSARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質の液-液相分離とそのRNA結合ドメインの明確な結合
[新型コロナ関連論文]アデノシン三リン酸(ATP)の二相性が調整するSARS-CoV-2のヌクレオカプシドタンパク質の液-液相分離とそのRNA結合ドメインの明確な結合
SARS-CoV-2は、高い伝染性のコロナウィルスであり、現在、世界的流行を引き起こしています。
ごく最近、~30kbのそのゲノムRNAが、相の分離した縮合物の中のヌクレオカプシドタンパク質と一括して解読されました。
興味深いことに、ウィルスは、ATPを生産する能力がないが、宿主細胞は、2- 12mMの高いATP濃度を持つようです。
故に、ATPがヌクレオカプシドタンパク質の液-液相分離を調整するかどうかの重要な問題が発生します。
本研究は、以前に発見した人間のRNA結合タンパク質FUSと神経変性に関連した分子量43kDaのDNA結合タンパク質であるタンパク質TDP-43と同様に、 ATPは二相性にウィルスのヌクレオカプシドタンパク質の液-液相分離を調整するだけでなく、オリゴ核酸により誘発された液滴を溶解する事を発見しました。
残留物特異性NMR解析特性(Residue-specific NMR characterization)は、ATPが明確に、平均Kd of 3.3 ± 0.4 mMで、ヌクレオカプシドタンパク質のRNA結合ドメイン(RBP)を結合することを示しました。
そのATP-RBD複合体構造は、NMR由来制約(NMR-derived constraints)により構成され、その中において、ATPは、核酸を結合するために用いられる正電荷正面(the positive-charged surface)内のポケットを占有します。
本研究は、ATPは、SARS-CoV-2により、そのゲノムRNAを脱コート、局在化、充填を促進することにより、ライフサイクルを増進するために活用されるように見えることを提示しています。
故に、ウイルスRNA とヌクレオカプシドタンパク質と、ATPの相互作用は、COVID19流行を終わらせるための薬とワクチンをデザインするための将来有望なターゲットを示しているかもしれません。
ご興味をお持ち頂けましたら、以下のリンクをご参照ください。
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X21000528